研究課題/領域番号 |
20K15848
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
川合 佑典 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10709546)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グルクロン酸抱合酵素 / UGT / 異物代謝 / 酵素誘導 |
研究実績の概要 |
動物は外来化学物質を無毒化し体外に排泄させるための異物代謝システムを持っている。哺乳類と鳥類の分岐後に出現し多様化した被子植物は様々な二次代謝産物を合成することから、食物として取り込まれる被子植物由来の化学物質は鳥類と哺乳類の異物代謝系のそれぞれの進化に独立して影響を与えたと考えられる。 本研究では異物代謝の抱合反応に関わるニワトリのグルクロン酸抱合酵素(UGT)に注目し、哺乳類のUGTとの相違点を明らかにすることで、鳥類と哺乳類がどのように被子植物由来の化学物質に対して適応したか明らかにすることを目的としている。 これまでに哺乳類において多環芳香族炭化水素受容体(AhR)を介してUGTを誘導することが知られているsudan IIIを8週齢のオスのニワトリに経口投与し、肝臓におけるUGT遺伝子群のmRNA発現変動を測定し、UGT1E7、UGT1E8、UGT2-1が誘導を受けることを確認した。またsudan IIIを投与した個体群の肝臓からミクロソームを調製し、4-メチルウンベリフェロン代謝活性を測定したところコントロール群と比較して代謝活性が亢進していることが示された。今回の結果から、ヒトではUGT1A1、UGT1A4、UGT1A6、UGT1A7、UGT1A8、UGT1A9、UGT1A10といった多くのUGT遺伝子がAhRを介して誘導されることが知られているが、ニワトリではAhRを介した誘導を受けるUGT遺伝子の数が少ないことが示唆された。現在はこれらの遺伝子を優先して酵母での異種発現を進めるとともに、他の化学物質によるUGTの発現誘導についても検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の対策により実験時間が限られたこと、また使用予定であったニワトリの飼育施設の温度管理が不十分であることが分かったため、実験がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在ニワトリUGTの酵母での異種発現後に行う化学物質の代謝活性測定について、研究協力者と検討を進めている。また飼育施設の温度管理について管理者と協議し、今年度の残りの投与実験を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症対策で出張を伴う学会発表がなくなり次年度使用額が生じた。感染状況に留意しつつ、今年度使用する見込みである。
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