研究課題
若手研究
本研究では鳥類と哺乳類における薬物代謝に関わるグルクロン酸抱合酵素(UGT)遺伝子の進化史を明らかにすることを目的として、哺乳類でのUGT遺伝子の分子進化解析、およびニワトリを鳥類のモデル動物としたUGT遺伝子の誘導、抱合活性測定、タンパク質の異種発現を行った。本研究の結果から被子植物の出現以前に存在した多環芳香族炭化水素などの化学物質への反応は哺乳類、鳥類で維持されていること、被子植物の出現が特に有胎盤類UGT2Bサブファミリーの出現と多様化に大きく影響を与えたことが示唆された。
獣医毒性学
これまでの研究で植物由来の化学物質に曝露される可能性が低い肉食動物はグルクロン酸抱合酵素(UGT)遺伝子の数が少なくグルクロン酸抱合活性が低いなど、食性と異物代謝能に関連があることが示唆されてきた。本研究ではこれまでの研究を被子植物の出現という視点で拡張させることで、鳥類および有胎盤類と有袋類が被子植物の出現と多様化に対し異なるUGT遺伝子を用いて適応している可能性を示した。またニワトリUGTの分子種ごとにその抱合活性測定を行い哺乳類UGTと比較できる環境を整えたことは発展性がある。