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2020 年度 実施状況報告書

脊椎動物における視覚行動選択の進化的起源の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K15855
研究機関筑波大学

研究代表者

鈴木 大地  筑波大学, 生命環境系, 助教 (60866672)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード視覚行動選択 / ヤツメウナギ
研究実績の概要

本研究は視覚行動を制御する視蓋ニューロンの分化と進化のメカニズムの解明を目的とする。
視覚は他の感覚に比べ、遠距離の状況をすばやく詳細に知ることができることから、適応的な行動を選択する際に果たす役割がきわめて大きい。 これまでの研究により、ヤツメウナギ視覚系は独特な段階的発達を示し、負の光走性を司る光受容程度の機能しかない原索動物型から像形成視が可能な脊椎動物型へと変化することが示唆された。同時にヤツメウナギ成体の視蓋には同側/対側の脳幹へ出力する2種類の視蓋ニューロンがあり、それぞ忌避と指向の視覚行動を制御していることも明らかとなった。そこでこれら2種類の視蓋ニューロンの細胞分化・神経回路形成メカニズムを明らかにすることで、忌避と指向の視覚行動を制御する神経メカニズムの進化的起源の解明を目指す。
本年度ではまず、同側/対側の脳幹に投射する2種類の視蓋ニューロンがどの段階で分化するのか特定するために 、幼生期、変態期、変態後の成体の各段階で軸索トレース実験を行った。その結果、同側性ニューロンは幼生期での成長を通じて、対側性ニューロンは変態期中に分化することを示唆する結果を複数の個体サンプルから得た。
次に、2種類の視蓋ニューロンの単離、微量RNA-seqによる特異的発現遺伝子の探索を行った。その結果、同側性ニューロンでは対側性ニューロンに比べてEphBの発現が有意に高いことを示唆する結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の初年度計画どおり、軸索トレースによる分化時期の特定と細胞単離、微量RNA-seqによる特異的発現遺伝子の探索を実施し、一定の結果を得たため。

今後の研究の推進方策

次年度では本年度の結果に基づき、軸索トレース実験と組み合わせた特異的発現遺伝子の発現解析を行う。すなわち、軸索トレース実験と in situ hybridization法による遺伝子発現解析を組み合わせ、特異的発現遺伝子が実際に特異的に発現していることを確かめる。また軸索トレースによる分化時期の特定についてはいまだ十分なサンプル数が得られていないため、これについては次年度も実験を継続する。

次年度使用額が生じた理由

本年度はコロナ禍の影響もあり、実験に供するヤツメウナギの採集を実行できなかった。実験自体は昨年度の予備的な採集により得られた個体を使って行ったが、本年度に採集ができなかったぶん、実験試薬の新規購入も抑えられた。翌年度は複数回の採集を行い、十分なヤツメウナギの確保につとめ、新規に購入した試薬類により集中的に実験を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Homology thinking reconciles the conceptual conflict between typological and population thinking2021

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Daichi G.
    • 雑誌名

      Biology & Philosophy

      巻: 36 ページ: 23

    • DOI

      10.1007/s10539-021-09800-7

  • [雑誌論文] Development of the lamprey velum and implications for the evolution of the vertebrate jaw2020

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama Hiromasa、Yoshimura Miho、Suzuki Daichi G.、Higashiyama Hiroki、Wada Hiroshi
    • 雑誌名

      Developmental Dynamics

      巻: 250 ページ: 88~98

    • DOI

      10.1002/dvdy.243

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公開日: 2021-12-27  

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