研究課題/領域番号 |
20K15867
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
池田 虎三 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 特任助教 (10700932)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヒノキアスナロ / 種分化 / 局所適応 / 遺伝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アスナロ属のアスナロとその変種であるヒノキアスナロの2変種間の天然林分布の相違および、2変種に観察される特徴的な繁殖様式であるクローナル繁殖に着目し、2変種間の局所適応における遺伝的要因を明らかにすることである。クローナル繁殖は、実生更新が望めない厳しい寒冷な環境下で個体群を維持するための重要な繁殖様式である。アスナロとヒノキアスナロは、天然林分布が日本海側と太平洋側に明確に分かれており、ヒバは日本海側の寒冷な環境に局所適応していると考えられる。ヒバでは局所適応を通じて、繁殖様式を伏状更新によるクローナル繁殖を主とした方法に変化することで、アスナロと生態的に種分化している可能性がある。集団間のクローナル繁殖の頻度の違いは、集団間の遺伝的構造の違いとして反映されていると考えられるが、繁殖様式の変化における遺伝要因の影響は不明確である。本研究では、アスナロ属2変種の繁殖様式の比較、および2変種間の遺伝的変異を解析することで、2変種間の繁殖様式における遺伝要因の影響を明らかにする。 これまで2変種の遺伝解析をおこない、変種間の遺伝的差異を明らかにした。また挿し木試験において変種間の発根特性の違いを明らかにした。令和3年度は2変種間の相違が地域間の相違として観察されるのか、またそれらが遺伝的要因に起因しているのかを解析するためのデータを取得した。今年度は取得したデータを元に解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、おもに2変種間の相違が地域間の相違として観察されるのか、またそれらが遺伝的要因に起因しているのかを解析するためのデータの取得を行った。他地域への移動に関して一部制限があり、データの取得に時間を要した。そのためデータの解析には至っていない。しかし、次年度ではそれらを解析しまとめる見通しである。引き続き、2変種間における繁殖特性を明らかにするとともに、遺伝的な関係性についての考察を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は取得したデータをもとに、地域間の繁殖様式の相違に焦点をあてた遺伝解析を行う。令和2および3年度は他地域への移動が一部制限されていたために、試料採取が困難であった箇所もあるため、引き続き、他の研究機関とも連携し試料の確保に努める。またそれらの試料をもとに遺伝的変異についての解析をおこない、2変種間で有意に選択を受 けて分化したと推定できる遺伝変異の検出を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に解析に必要な試料が入手できず、予定していた解析を令和4年度に行うこととしたため、次年度使用額が生じた。改めて令和4年度にNGSによる解析を行う予定である。
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