研究課題/領域番号 |
20K15869
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
栗田 隆気 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00738841)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 有鱗目 / トカゲ / 分類 / 標高 / 種分化 |
研究実績の概要 |
標高による種分化ならびに地球規模での気候変動が熱帯域において高い種多様性を創出した要因になっているのではないかという仮説を検討するために、熱帯地方の低地から高地にかけて複数の種が生息するトカゲ類をモデルに、過去の集団動態を解明することが本課題の主目的である。 令和4年度はアガマ科トビトカゲ亜科のトカゲ類であるPelturagonia属の全ゲノム解析を実施した。マレーシア領サバ州およびサラワク州の標高1200m以上の高地にのみ生息する2種3個体について、ショートリードシーケンサーを用いてホールゲノムショットガンデータを取得し、現段階では仮ではあるがゲノムアセンブリを行ってドラフトゲノムを構築した。500塩基対以上のコンティグに限定すると約18億塩基対、コンティグ数約74万本、N50が4227塩基対となった。また、BUSCOによるドラフトゲノム完成度評価として、完全長が得られた遺伝子座は27.6%、断片化した遺伝子座は27.9%、検出できなかった遺伝子座は44.6%となり、現段階では完成度はそれほど高くない状態となった。この点については今後ロングリードシーケンサーから出力されたデータとショートリードデータを合わせて解析することにより飛躍的に改善すると考えられるため、令和5年度はドラフトゲノムの質の向上と、今回ショートリードデータを取得したPelturagonia属トカゲ類2種データからゲノムワイドな一塩基多型データを取得して、それらに基づいた集団動態解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題に必要なゲノムデータの一部を取得し、ゲノムアセンブリまでをひととおり終了することができた。データの解析過程は令和5年度も繰り返し実施してデータの質の向上を狙うが、そのステップをひととおり実施できたことで今後の解析もスムーズになるため、概ね順調な進展を見せていると評価している。なお、本年度の途中から、ライフイベントによる一時的な課題の中断があった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はロングリードデータによるドラフトゲノムの質の向上と集団動態解析を実施する。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延で見通しが立っていなかった海外での調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
育児休業による課題中断のため。
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