植物は周囲の物理/化学的な環境だけでなく、生物学的環境にも柔軟に応答することがわかってきました。植物が周囲の他個体と土壌中の資源をめぐって競争しているときには、自身の成長バランスを乱してでも根を大きくさせます。この応答を個体群のすべての個体が行うことで生産性が低下してしまうことから共有地の悲劇に例えられます。本研究では、植物の共有地の悲劇に関連して植物が成長しながら競争を行うプロセスや、植物が競争相手との血縁関係に応じて振る舞いを変える現象について、数理モデルを用いた理論研究を展開しました。この成果は植物の種多様性維持機構についての新たなプロセスの提案や、農作物の生産性向上に寄与します。
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