研究実績の概要 |
直径5 mm以下のマイクロプラスチック(MP)は、海洋環境中の至るところに存在し、多くの海洋生物に誤飲・誤食されている。海水中に存在するMPは微生物付着の影響などより最終的には海底堆積物に蓄積される。海底堆積物中ではメイオファウナと呼ばれる小型底生生物が生態系内で大きな役割を担っているが、MPがメイオファウナに与える影響について検証した研究は皆無であった。そこで本研究では、MPがメイオファウナに与える影響を評価するために、寒天培地を用いたメイオファウナの飼育実験を行うことで、メイオファウナがMPを食べるのか、MPの状態やメイオファウナの食性の違いがMP摂食の有無や摂食量にどのような影響を与えるかを明らかにする。 期間中は、寒天培地(NGM:nematode growth medium)を用いたメイオファウナの室内飼育実験を確立することを目的とした。NGMは淡水生線虫(Caenorhabditis elegans)が、がんの「匂い」に誘引されることを使用したがん検査技術にも利用されており(Ueda et al., 2019)、NGMはメイオファウナの行動観察に有効であると考える。NGM(2% Bacto agar、5 Mりん酸緩衝液(pH 6.0)、1 mM塩化カルシウム、1 mM硫酸マグネシウム)を直径3 cmのガラスシャーレ内に作成し、その上でメイオファウナを約1週間飼育することに成功した。 メイオファウナ飼育のシャーレ内にマイクロプラスチックを添加し、メイオファウナのマイクロプラスチックの摂食の有無を検証する予定であったが、令和4年3月31日付けで科研費指定機関ではない民間企業へ異動し、科研費の応募資格を失ったため、本課題を廃止した。
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