出アフリカを果たした現代型ホモサピエンスが日本列島に到達したのは数万年前の後期旧石器時代であるが、酸性土壌が多い日本列島では骨などが残り難いだけでなく、人骨に残されたDNAへのダメージも大きい。このため、日本列島旧石器時代人骨のゲノム情報は皆無であったが、本研究によって、そのミトコンドリアゲノムの全長配列解読が初めて成し遂げられた。また、一定量以上の次世代シーケンス・リード配列が得られたことで、ゲノム情報に基づく性別判定も成し遂げられた。これは、“最初の列島日本人”である旧石器時代人の全ゲノム解明への第一歩となる成果であり、列島日本人を体系的に理解するための始点に到達した学術的意義は大きい。
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