研究課題/領域番号 |
20K15887
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
池田 悠稀 杏林大学, 保健学部, 研究員 (60868800)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 動作観察 / 脳波 / ミラーシステム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、動作の観察と実行を繰り返す観察学習を行う際のミラーシステムの活動変化を調べ、ミラーシステムと動作習熟の関係について明らかにすることである。今年度は、前年度末に所得したデータの解析とデータの追加取得を行った。実験では、手指の巧緻性と、巧緻性を必要とする手指動作を観察する際の脳活動の関連を調べることを目的とした脳波計測を行った。実験に使用する動作は、小さな積み木を使用する、難易度の異なる2種類の動作とした。被験者は、十分に動作の練習を行った後に、1回の動作実行にかかる時間等を行動成績として記録した。その後、一定時間内に動作を繰り返す実行条件と、同様の動作を行う動画を呈示する観察条件について、それぞれ脳波を記録した。脳波計測後に、動作の難しさについて等、動作に関する主観評価を取得した。動作観察時の脳波からは、ミラーシステムの活動指標となるμ波抑制を算出した。 その結果、動作の難易度間に有意な抑制量の差は見られなかった。また、得られたμ波と、動作の遂行成績(一定秒数内の遂行回数)との間の関連も見られなかった。また、実行条件については、動作の難易度に関わらずベースラインからのμ波パワー値の増加が確認された。パワー値の増加は先行研究とは異なる結果であり、体動による影響について検討する必要がある。結果を踏まえて予備的な計測を行い、対象とする動作や計測時の姿勢を変更することを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、前年度に取得したデータの解析と、予備的な検討も兼ねたデータ取得に終始した。次年度の実験実施に必要なデータは取得できたため、進捗は見られたがやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
実験デザインの変更に関しての検討は今年度に行うことができたため、対象とする動作などを変更した上で新しくデータを取得していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては、施設備品を使用して実験を行うことができたため、今年度は支払う必要が生じなかった。消耗した物品等について次年度購入することを予定している。 人件費・謝金については、他の実験予算との調整によって、支払いが不要となったため、次年度以降に使用することとした。 その他の予算に関しては、論文投稿費や英文校正等に使用する予定であったため、次年度に繰り越すこととした。
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