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2021 年度 実施状況報告書

動物の行動・認知機能を生成する脳内細胞集団の同定とその神経生理機能の実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 20K15891
研究機関北海道大学

研究代表者

田路 矩之  北海道大学, 理学研究院, 博士研究員 (20866371)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード動物行動 / ソングバード / 神経科学 / Single cell RNA-seq / 細胞機能行動学 / Single cell ATAC-seq / 細胞タイプ特異的エンハンサー
研究実績の概要

本研究の目的は、脳内細胞群が、どのように個体の行動・認知を細胞集団単位で制御しているのかを明らかにすることである。そのために、ソングバードの音声生成回路(ソングシステム)に、どのような細胞集団が存在するのかを網羅的に明らかにし、各々の細胞集団が音声発声学習・生成にいかに関与しているのか、実験的検証を実施している。
当該年度において、前年度に同定したキンカチョウのソングシステムの歌運動神経核HVC, RAを構成する細胞集団について、それぞれの特異的遺伝子の発現を制御しているエンハンサー候補を選定した。またキンカチョウ幼若個体についてもsingle cell ATAC-seqを行うことで、音声発声学習の発達過程におけるそれぞれの細胞集団の特異的エンハンサー候補を同定した。現在、細胞集団特異的エンハンサー候補を試験的に発現ベクターに導入し、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて歌神経核HVCおよびRAに導入することで、細胞集団特異的な遺伝子発現を誘導することができるかどうかを確認している。当該年度は特に、キンカチョウにおいてより細胞集団特異的に遺伝子発現を強力に誘導可能なコアプロモーターやイントロン領域の探索を行い、これらをアデノ随伴ウイルスベクターのコンスタントに組み込むことを目指した。今後は細胞集団タイプ特異的に遺伝子発現を誘導することの確認できたエンハンサーを用いて特定の細胞集団を操作し、歌にどのような変化が生じるのかを検証していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

細胞集団特異的な遺伝子発現を誘導するためのベクター構築に時間を要しているため。

今後の研究の推進方策

令和4年度においては、細胞集団限定的な操作を試みる。
操作内容としては、i) ジフテリア毒素dtAを用いたターゲット細胞タイプへのアポトーシス誘導、ii) shRNAを用いたチャネル遺伝子発現操作による細胞の電気生理特性の制御、を予定している。

次年度使用額が生じた理由

細胞タイプ特異的遺伝子発現ベクターの構築がやや遅延したため、その次のステップである細胞の人為的制御に必要な経費が使用されなかったため。
次年度においては、本来実施予定の実験に加え、当年度に実施できなかった実験を行うために予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Nicotinic acetylcholine receptors in a songbird brain2022

    • 著者名/発表者名
      Asogwa Norman Chinweike、Toji Noriyuki、He Ziwei、Shao Chengru、Shibata Yukino、Tatsumoto Shoji、Ishikawa Hiroe、Go Yasuhiro、Wada Kazuhiro
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Neurology

      巻: 530 ページ: 1966~1991

    • DOI

      10.1002/cne.25314

  • [学会発表] 鳴禽類の歌行動進化の神経分子メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      田路矩之、柴田ゆき野、辰本将司、石川裕恵、郷康広、和多和宏
    • 学会等名
      日本動物学会第92回大会(オンライン米子開催)サテライトシンポジウム「K1 非モデル生物を材料とした神経行動学のイマとミライ」
    • 招待講演
  • [学会発表] Neural molecular mechanisms of the evolution of species-specific song in songbirds2021

    • 著者名/発表者名
      TOJI Noriyuki, SHIBATA Yukino, TATSUMOTO Shoji, ISHIKAWA Hiroe, GO Yasuhiro, WADA Kazuhiro
    • 学会等名
      日本比較生理生化学会 第43回札幌オンライン大会

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公開日: 2022-12-28  

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