本研究では微生物ロドプシンの膜配向を逆転させ、新たなオプトジェネティクスツールをデザインする。これまで微生物ロドプシンの膜配向はN末端が細胞外、C 末端が細胞内に局在するとされてきた。しかしメタゲノム解析により発見されたヘリオロドプシンは、アミノ酸配列が既知の微生物ロドプシンとは大きく異なり、さらにこれまでに知られていた微生物ロドプシンとは膜配向が逆転し、N末端が細胞内、C末端が細胞外に局在していることが判明した。これによりヘリオロドプシンと従来型微生物ロドプシンのキメラタンパク質を作製し、微生物ロドプシンの膜配向を転換するという着想を得た。 ヘリオロドプシンは2018年に発見されて以来、古細菌や真正細菌の他、藻類などの真核生物や巨大ウイルスなど、自然界に広く存在していることが分かった。その機能は判明していなかったが、本研究において世界に先駆けて円石藻に感染するウイルスが持つヘリオロドプシン(V2HeR3)が光依存的なプロトン輸送能を持つことを明らかにした。さらにアミノ酸変異体を作製し、構造と機能の連関について解析を行い、ヘリオロドプシンのイオン輸送機構について報告した。電気生理学的手法を用いて、クリプト藻の微生物ロドプシン(GtCCR1-5)やカリウムチャネルロドプシンの光感度やOFF時定数の測定を行った。GtCCR1-5については論文に報告した。キメラロドプシンを作製し、輸送能を調べた。
|