研究課題
ジストニアを含む不随意運動疾患は、神経回路の異常によって生じるが、運動異常の原因となる神経回路機構には不明な点が多い。本研究では、ジストニア様の運動異常を示すDystonin(Dst)変異マウスを動物モデルとして、不随意運動の原因となる神経回路を探索した。これまでに、条件付きDst遺伝子トラップマウスに対して、幾つかのCreマウスとの交配、及び、ウイルスベクターによるCre発現によって、神経回路選択的にDst発現をON/OFFできるシステムを確立してきた。現在、Dst変異マウスの不随意運動を含む疾患表現型に関わる神経回路病態を明らかにするために、感覚神経や自律神経を含む末梢神経系における異常について分子レベルと神経回路レベルでの解析を進めている。さらに筋組織に発現するDst-bアイソフォームの遺伝子変異マウスにおける筋病態を解析した。Dst-b変異マウスは、神経変性や不随意運動を発症しないが、タンパク質凝集体の形成を伴う遅発性のミオパチーと心筋症を発症することを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
本計画によって、末梢神経系と筋組織に発現するDstアイソフォームの役割を区別して解析することが出来た。これにより不随意運動を含むDst変異マウスの疾患表現型に関する細胞・神経回路メカニズムを具体的に示しつつある。
これまでに特定の神経回路の障害がDst変異マウスにおける運動異常に繋がることを示した。今後、CreマウスとCre発現ウイルスベクターを用いて神経回路選択的にDst発現を制御したマウスに対して形態学、生理学、生化学などの多面的な解析を実施して、Dst変異マウスの疾患表現型に関わる病態機序を明らかにしていく。
原著論文の発表に向けて、計画の一部を次年度に繰り越したため。
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https://www.niigata-u.ac.jp/news/2022/210280/