研究課題
若手研究
本研究により、脳幹聴覚回路におけるオリゴデンドロサイト形態の領域差を作り出すメカニズムの一端が明らかとなった。神経核近傍領域では、対側投射領域と比較してオリゴデンドロサイト系譜細胞の密度が高く、この細胞密度の領域差は軸索からの開口放出の抑制によってほぼ消失した。また、オリゴデンドロサイトにおけるBDNFシグナリングの操作は領域依存的にミエリン形態に影響を及ぼした。以上の結果は、脳幹聴覚回路の軸索から放出されたBDNFの局所濃度差がオリゴデンドロサイト形態の領域差を生み出す可能性を示唆する。
神経科学
オリゴデンドロサイト不均一性に関する知見は蓄積しつつある一方で、その機能的意義については十分に理解が進んでいない。本研究では、オリゴデンドロサイト不均一性がマイクロ秒レベルの両耳間時差検出に関わることが示唆される脳幹聴覚回路において、その形成メカニズムの一端を明らかにした。この成果は、神経グリア回路の情報処理基盤を理解するうえで重要な知見となると期待できる。