研究課題/領域番号 |
20K15919
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮下 聡 新潟大学, 脳研究所, 助教 (30828900)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小脳 / 発生 / UBCs / single cell RNAseq |
研究実績の概要 |
2021年度は、ある遺伝子の変異マウスにおいて、UBCsの数が変動することを新たに見出した。このマウスを解析することによって、これまで不明であったUBCsのサブタイプの産生を制御する分子メカニズムの解明が期待される。しかし、組織染色による解析では、このマウスにおいて、どのようなサブタイプのUBCsが障害を受けたかを評価することは困難であった。そこで、この変異マウスにおいて、どのような遺伝子発現の変化があるかを調べるために、先進ゲノム支援の支援を受け、生後小脳を用いた一細胞RNAシーケンスを実施した。この解析で得られた結果は、現在解析中ではあるが、昨年度得られた成果をさらに発展させ、研究計画I. UBCsの遺伝子発現プロファイルと神経回路を達成する重要な成果であるため、引き続き解析を行っていきたい。 また、UBCs特異的に組み替え酵素Creが発現するマウスと、各種ウイルスベクターを用いて、UBCsが関係する神経回路網の探索やUBCsの生理機能の解析を行うために、インジェクションの実験系の立ち上げを行なった。幸いなことに、小脳にインジェクションする系を上手く立ち上げることができたため、今後は、順次実験を遂行していく予定である。 以上の結果に加えて、2021年度は、これまでに行ってきた小脳神経細胞の発生メカニズムに関する論文を3報(内,筆頭著者2報, 責任著者1報)報告することができた。来年度以降も引き続き研究計画に沿って研究を推進していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、異動がありマウスや解析環境のセットアップに多くの時間を要したため、やや遅れている。しかし、マウスへのウイルスインジェクションの系やsignle cell 解析のための生体小脳からの細胞調整の条件検討を順調に遂行することができたため、来年度は当初の目標通りに研究を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、UBCsが関係する神経回路網の探索とUBCsの生理的な機能の解析を中心に解析を進めていきたい。実験に用いるマウスは十分確保できていて、インジェクションの実験系も立ち上がっているので、順次進めていく予定である。また、これまでの一細胞RNAシーケンス解析の結果、機械学習を用いたクラスタリング手法を行うことで、神経細胞を有効的にクラスタリングできることを見出したので、当初の研究計画にはなかったものの、このアルゴリズムに関する開発も進めていく予定である。 次年度は最終年度であるため、研究計画に沿った研究を進めるとともに、これまで得られた成果を論文としてまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は研究機関の異動があり、本来使用する予定だった機器や試薬の多くを購入しなかった。また、先進ゲノム支援によって本来支出する予定だった試薬の購入を延期することができた。次年度使用額は、新たに購入予定の実験機器や試薬に使用する計画である。
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