先天的行動は、動物の学習や経験に依存せずに認められることから、遺伝的に保存された特定の神経回路によって駆動されると考えられる。しかしながら、その詳細なメカニズムは明らかとされていない。そこで、本研究では、先天的行動を生じさせるモデルとして、マウスの天敵臭を呈示した際の防御行動を用い、脳深部神経活動記録および神経回路トレーシング解析を行った。その結果、天敵臭を呈示した際の逃避行動の誘導に扁桃体梨状皮質遷移野 (AmPir) の活動が必要であることがわかった。さらに、AmPirは、天敵臭を含む特定匂い物質によって誘導される、持続的な不安様行動の亢進にも関与することを明らかにした。
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