研究課題
摂食行動は、生命活動に必要なエネルギーや栄養素を摂取するための恒常的摂食と、味覚、嗅覚、視覚など外的刺激に誘発された情動変化による快楽的または情動的摂食が相互作用して行われると考えられている。近年増加傾向にある摂食障害の一因には、情動神経回路の機能異常による摂食行動制御機構の破綻があると考えられるが、その病態解明には摂食を制御する情動システムの理解が必要である。本研究では情動中枢の出力核である扁桃体中心核において、摂食に関わる情報がどのような回路機構で処理され、摂食行動調節のアウトプットにつながるかを解明することを目的とした。扁桃体中心核を構成するの主要な神経細胞であるPKCd (protein kinase C, delta)、SOM (somatostatin)、CRF (cortictropin releasing factor)陽性細胞を対象とし、3種のCreドライバーマウスラインに対してエンドスコープ型小型蛍光顕微鏡を用い、摂食行動や味覚刺激時、消化管関連ホルモン投与時のカルシウムイメージングによる神経活動計測を行った。さらに取得データの解析を進め、扁桃体中心核の各神経細胞種について、摂食によって神経活動変化を起こす細胞群、特定の味覚刺激に応答する細胞群、摂食抑制作用を持つ消化管ホルモンに応答する細胞群が存在することを明らかにした。このことは、扁桃体中心核に、摂食に関わる多様な情報が集積していることを示唆しており、扁桃体中心核への入力経路などを詳細に解析し、情動神経回路による摂食調節の全容を解明することが今後の課題である。
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Translational Psychiatry
巻: 12 ページ: -
10.1038/s41398-022-01851-y
Frontiers in Molecular Neuroscience
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Nature Communications
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