研究課題/領域番号 |
20K15936
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
永瀬 将志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40749462)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 扁桃体 / 腹側被蓋野 / 腕傍核 / シナプス可塑性 / ドーパミン |
研究実績の概要 |
恐怖や痛みなどの負の情動は個体に危険を知らせる警告信号として働くため、個体の生存に必須である。一方、PTSDなどの精神疾患に伴う負情動の制御破綻は過度の苦痛をもたらしてQOLを著しく低下させ、臨床上の大きな問題となる。しかし、情動制御、特に神経修飾物質による情動制御の神経回路機構については未だ不明な点が多い。我々は、脳幹の腕傍核から情動の座である扁桃体への投射がPTSDモデル動物においてシナプス増強を示すこと、そして同経路の光遺伝学的活性化が人工的恐怖記憶を形成することを明らかにしてきた。また、腕傍核がドーパミンニューロンの主要な起始核である腹側被蓋野に投射すること、腹側被蓋野のドーパミンニューロンが扁桃体に投射することが報告されている。そこで本研究では、シナプス機能の修飾因子としてドーパミンに着目し、脳幹-腹側被蓋野-扁桃体神経回路を包括的に解析することでその生理的意義とシナプス・回路レベルでの制御機構を明らかにすることを目指す。本年度は、昨年度に引き続き、脳幹-腹側被蓋野-扁桃体神経回路の投射様式と脳幹-側被蓋野経路による情動行動制御の解析を進め、細胞・回路メカニズムを検討した。また、ドーパミンが脳幹-扁桃体経路におよぼす作用と同経路のシナプス可塑性制御機構を電気生理学的に解析した。さらに、脳幹-扁桃体経路が忌避行動を直接誘発する嫌悪シグナルとして働くことを光遺伝学的手法を用いた行動学的解析によって明らかにして報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は脳幹-扁桃体経路が忌避行動を直接誘発する嫌悪シグナルを伝達することを報告した。さらに、同経路にドーパミンがおよぼす作用についても解析が進んでいる。後述のように遺伝子改変マウスの繁殖状況の影響で当初の計画を一部変更したものの、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、脳幹-扁桃体経路のシナプス可塑性とドーパミンによる制御機構の電気生理学的解析を進める。さらに腹側被蓋野-扁桃体経路についても解析を進め、脳幹-腹側被蓋野-扁桃体神経回路の生理的意義とその制御メカニズムに迫る。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変マウスの繁殖状況に合わせて当初の計画を一部変更して次年度の計画を先に実施した影響で次年度使用額が生じた。計画通り実験の消耗品の購入に使用する。
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