研究課題/領域番号 |
20K15951
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
辻 耕平 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50866639)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | HIV / エイズ / タンパク質リン酸化酵素 / スクリーニング |
研究実績の概要 |
ヒト免疫不全ウイルス (HIV) 根治治療を指向したタンパク質リン酸化酵素C (PKC) C1bドメイン結合性リガンド探索のための活性評価系の確立およびその応用を行った。HIVは後天性免疫不全症候群 (AIDS) の原因ウイルスである。多剤併用療法 (Anti-Retroviral Therapy, ART) によるHIV治療はそのウイルス量を検出限界以下まで抑えることが可能であるが、投薬中はリザーバー細胞と呼ばれる細胞内で潜伏・休眠してしまう。休眠中のHIVへのARTは効果が低く、しかし、ARTを中止すると再び増殖を開始してしまう。このため、その治療には毎日の服薬が必要であり、患者のコンプライアンス、経済的負担、医療費の増大等の観点から根治治療法の開発が望まれている。HIV根治治療に向けたアプローチの一つに、この休眠中のHIVを叩き起こし (kick)、ART感受性を高める (kill) 治療法 (kick & kill法) がある。現在、kick & kill法について臨床・非臨床の場を問わず、世界中で研究が盛んに行われている。しかし、臨床試験においてkick & kill法の効果が確認されなかったことも報告されている。したがって、臨床の場においても効果の高い新規HIV再活性化薬の開発はHIV根治治療に不可欠である。本治療法において鍵となるHIV再活性化能を有する化合物群の一つがPKC活性化剤である。PKC活性化剤はPKCのC1ドメイン (C1aもしくはC1b) に結合し、PKCを活性化する。本年度はPKC活性化剤探索のためのPKC C1bドメインに対する新規リガンドスクリーニング法の開発を行い、従来法に比べ精度の高いリガンドスクリーニング法の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、当該研究の遂行に少なからず影響したため、研究の進行に支障をきたした。 本年度はFRETを用いたPKC C1bドメインに対する新規リガンドスクリーニング法の開発を行った。FRET効率の向上を期待したDAG lactone誘導体(ドナー)とフルオレセイン(アクセプター)の組み合わせを用いることにより、環境応答型蛍光団を利用した従来法において偽陽性を示した6種類の化合物のうち4種類を陰性化合物として排除することに成功した。さらに本スクリーニング法に用いるDAG lactone誘導体およびフルオレセイン導入型PKC C1bドメインの合成方法の最適化を行い、その収率の向上を達成した。本成果を含む関連研究成果に関して1件の講演を行い、国際学術誌(査読あり)に現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、FRETドナー/アクセプターの最適化を行う。また、蛍光色素導入型PKC C1aドメインについても合成し、それを用いたPKC C1aドメイン結合性PKCアゴニストの探索のためのリガンドスクリーニング法の開発を試みる予定である。 さらに本年度に開発したPKC C1bドメインに対するリガンドスクリーニング法を用いて、HIV再活性化能を有するPKCアゴニストの探索を行う。得られたPKCアゴニストに関して、国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所の満屋 裕明博士、前田 賢次博士にそのHIV再活性化能を評価していただく
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、当該研究の遂行に少なからず影響したため、研究の進行に支障をきたした。そのため、次年度使用額が生じてしまった。 生じた次年度使用額については化学合成用試薬、化学合成用溶媒、生化学実験用試薬、ガラス器具、消耗品などの購入に充てる予定である。
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