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2021 年度 実施状況報告書

マレイミド天然物の収束的な合成法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K15960
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

成田 紘一  東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (20584460)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードオキサレイミド I / マレイミド / ヨウ化サマリウム / Diels-Alder 反応 / 天然物合成
研究実績の概要

昨年度に続き、抗がん活性を示すマレイミド天然物 オキサレイミド I を標的とした全合成研究を行なった。本年度は主に本化合物のデカリン環セグメントの合成経路を確立することを目的として、検討を行なった。
市販の(R)-(-)-3-ヒドロキシイソ酪酸メチルを出発物質として用い、Horner-Wadsworth-Emmons 反応を含む数工程を経てヨウ素体へと導いた。ヨウ素体に対して、トリエン部を有するマロン酸エステル誘導体とのカップリング反応を試みたが、マロン酸エステル誘導体の立体障害に起因して脱離反応が優先してしまい、目的のカップリング体は低収率で得られるのみであった。そこで、段階的に置換基を導入することとし、マロン酸ジメチル、トリエン部を有するアルキルブロミドを順次反応させることで収率の改善に成功した。次に、カップリング体のα,β-不飽和アルデヒド体への変換、続く、Diels-Alder 反応について検討を行った。カップリング体の Dess-Martin 酸化は速やかに進行したものの、生じたアルデヒド体は不安定であった。そこで、アルデヒド体を単離することなく、ワンポットで Diels-Alder 反応を行ったところ、目的の環化体を endo : exo = 7 : 1 の生成比で得ることができた。得られた環化体の立体化学についてはNOESY 測定を行い、望む endo 体が優先的に得られていることを確認している。現在、得られたDiels-Alder 環化体をアセタール基で保護した後、Krapcho 脱炭酸反応によるメトキシカルボニル基の除去について検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Diels-Alder 反応によるデカリン環部の構築には成功したものの、目的のデカリン環セグメントの合成には至っていない。また、合成の過程においてトリエン部の不安定さに起因して収率の改善が困難なことに加え、合成中間体に分離不可能な分解物が混入することが原料合成を困難にしている。トリエン部を段階的に構築する代替経路についても検討を行っているが、現状では改善に至っていないことから改善の余地があると考えている。

今後の研究の推進方策

得られたDiels-Alder 環化体を用いたデカリン環セグメントの合成を目指す。得られたデカリン環セグメントと既に合成しているマレイミドセグメントをヨウ化サマリウムを用いたカップリング反応により連結し、酸化、脱保護反応を経てオキサレイミド I の全合成を達成する。またヨウ化サマリウムを用いたマレイミドカップリング反応の分子内反応への展開についても検討する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により参加予定だった学会がオンラインとなったため、旅費の使用がなかった。また、合成の検討に必要な試薬が汎用性の高いものが多く、既に購入済みのものを使用できたため消耗品の支出が少なかった。
未使用額については、研究成果発表のための学会参加への旅費に充当する他、標的化合物の合成に向けた検討を行う際必要な試薬やガラス器具の購入に充当する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Synthesis and evaluation of trypanocidal activity of derivatives of naturally occurring 2,5-diphenyloxazoles2021

    • 著者名/発表者名
      Narita Koichi、Suganuma Keisuke、Murata Toshihiro、Kondo Ryutaro、Satoh Hiroka、Watanabe Kazuhiro、Sasaki Kenroh、Inoue Noboru、Yoshimura Yuichi
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry

      巻: 42 ページ: 116253~116253

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2021.116253

    • 査読あり
  • [学会発表] 安全性の高いトリパノソーマ症新規治療薬の開発を目指したモンゴル国薬用植物由来 2,5-ジフェニルオキサゾール誘導体の合成と活性評価2022

    • 著者名/発表者名
      成田紘一
    • 学会等名
      帯広畜産大学原虫病研究センター共同研究成果報告会
  • [学会発表] Schenk エン反応を用いたフェルギネン A および B の全合成2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤廣河、保坂 猛成、成田紘一、渡邉一弘、吉村祐一
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会
  • [学会発表] 銀 (I) イオンによる新規ピペリジン環構築法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      渡邉一弘、佐藤 陸、佐藤廣河、成田紘一、吉村祐一
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会
  • [学会発表] 天然由来の 2, 5-ジフェニルオキサゾール誘導体の合成と抗トリパノソーマ活性評価2022

    • 著者名/発表者名
      成田紘一、菅沼啓輔、村田 敏拓、近藤龍太郎、佐藤廣河、渡邉一弘、佐々木健郎、井上 昇、吉村祐一
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会
  • [学会発表] 分子内にジスルフィド結合を含む環状デプシペプチド類の全合成研究2021

    • 著者名/発表者名
      成田紘一
    • 学会等名
      第 43 回東北薬学セミナー

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公開日: 2022-12-28  

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