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2022 年度 実施状況報告書

医薬品構造としてのカルボラン実践応用に向けた基盤的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K15961
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

皆瀬 麻子  東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (30710397)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードカルボラン / ホウ素クラスター / 創薬化学 / エストロゲン受容体
研究実績の概要

ホウ素クラスターであるカルボランは創薬基礎研究において、低分子生物活性化合物の疎水性構造として分子全体を支持する骨格構造として機能し、疎水性相互作用を通じた生物活性発現に大きく寄与していると考えられている。本研究ではカルボランの医薬品構成要素としての可能性を探索すべく、現在まで未解明であったカルボラン誘導体の薬物動態プロファイルの解明、実践的な臨床応用を志向した新たなカルボラン誘導体の開発を進めてきた。
前年度までに肝ミクロソーム画分を用いた代謝安定性評価、および薬剤排泄ポンプの一つであるP-gp高発現細胞株を利用した細胞膜透過性試験を実施した。強いエストロゲン活性を示すカルボラン誘導体と、そのリード化合物であるカルボラン非含有医薬化合物との間には、顕著な性質の差は認められなかった。カルボラン誘導体が実際に使用されている医薬化合物と同様の性質を有したことから、カルボランの医薬品構造として可能性が示された。今年度は明確でなかったカルボラン誘導体の作用メカニズム解析のため、標的タンパクとの相互作用評価系の構築を進めた。評価系が構築でき次第、評価を実施する予定である。
新たなカルボラン誘導体の合成研究では、前年度までに既存の耐性乳癌治療薬に対してカルボランを導入した化合物を合成し、その医薬活性を評価したが、目的と反し癌細胞増殖促進効果を示していた。この作用は部分構造として用いたカルボラン誘導体の強力なエストロゲン活性が要因と考えられる。今年度は新たに前年度と異なる既存薬に対してカルボランを導入した化合物の合成を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

相互作用解析の評価系構築に想定以上の時間を要している。前年度までコロナ禍の影響で研究計画を大幅に変更してきた影響もある。現在評価条件を見直し新たな評価プロトコルの作成を進めている。

今後の研究の推進方策

前年度まで実施できなかった、相互作用解析の評価プロトコルを中心に進めている。プロトコルが固まり次第、評価を実施する予定である。新たなカルボラン誘導体の合成研究では、目的の活性発現が期待できる新たな構造の化合物合成を進めている。

次年度使用額が生じた理由

前年度に引き続き、参加予定であった学会がオンライン開催となったことにより、支出を見込んでいた学会に係る旅費等において未使用分が生じた。また研究計画の遅れにより、予定よりも試薬等の使用量が少なかった。
次年度は相互作用解析の評価プロトコル作成を中心に進め、プロトコルが作成次第化合物評価を行う予定である。また学会発表や論文公開による成果公表も進める予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] カルボランを用いた実践的な低分子創薬研究2022

    • 著者名/発表者名
      皆瀨麻子、太田公規
    • 雑誌名

      月刊細胞

      巻: 54 ページ: 530-533

  • [雑誌論文] カルボランを用いた実践的な低分子創薬研究2022

    • 著者名/発表者名
      皆瀨麻子、太田公規
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 6 ページ: 1164-1169

  • [学会発表] アルキルアミノ側鎖を持たないエストロゲン受容体パーシャルアゴニスト2023

    • 著者名/発表者名
      太田公規、皆瀨麻子、小川卓巳、遠藤泰之
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] ホウ素クラスターの化学的特徴を利用した新規核内アンドロゲンfull-antagonistの創製2022

    • 著者名/発表者名
      太田公規、皆瀨麻子、藤井晋也、小田彰史
    • 学会等名
      日本レチノイド研究会 第33回学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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