研究課題/領域番号 |
20K15963
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
渕 靖史 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (40748795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人工核酸 / 複素環 / スルホニル / 擬プリン塩基 |
研究実績の概要 |
遺伝子を標的とした核酸医薬は、基本的に化学修飾した人工核酸が組み込まれている。それらの人工核酸としてはヌクレオシド構造の糖部やリン酸部を修飾した誘導体が適用されているが、塩基部を人工的に化学修飾したものは例が少ない。そこで本研究では核酸医薬への応用も視野に入れ、新たなヌクレオシドモノマーを提供することを目的とした。本研究で開発する人工核酸は、プリン塩基であるA (アデニン) やG (グアニン) に擬似した「擬プリン塩基」を有するヌクレオシドである。具体的には、プリン塩基でいうところの7位にスルホニルを組み込んだ新規分子(sfAとsfG)を合成し、それらをオリゴ核酸配列中に組み込み、機能性・有用性を評価することを計画した。このような計画のもと、本年度はAのアナログとして設計した「sfA」の合成を中心に研究を進行した。sfAの合成計画として、塩基部位と糖部分をそれぞれ合成し、それらをカップリング後、DNA自動合成のためのモノマーであるホスホロアミダイトへと導くこととした。糖部の合成は文献既知の方法に従った。塩基部の合成ではアミノ基の保護基を検討し、モノメトキシトリチルが最適であった。カップリング反応の条件検討も行い、最適な試薬の組み合わせを見出した。最終的にホスホロアミダイト体を合成し、オリゴ核酸配列中に組み込むことにも成功した。しかしながら、DNA自動合成後の固相からの切り出しの際、アンモニア処理によってsfAを組み込んだ配列が鎖切断されることが分かった。またモノマーを用いた検討においても、塩基処理によって糖部1'位に官能基が挿入されることも分かった。これらの知見より、sfAを自動合成によって組み込むことが困難であると示されたため、今後は前駆体としてオリゴ核酸配列中に組み込み、オリゴ核酸配列中で酸化反応を行ってsfAを構築することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一段階である合成ルートの確立を達成できたので、今後の機能性評価のための物質供給が容易になり、研究がおおむね順調に進行していると考えられる。オリゴ核酸配列中に組み込むことが困難であることが分かったが、前駆体の合成も終えているので、直ちにDNA合成後修飾反応の検討も可能である。またsfAの合成検討を基盤に、sfGの合成も進行中であり、同様の保護基とカップリング条件を適用可能であることが示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
上述のようにsfAをオリゴ核酸配列中に組み込むにあたって課題が生じた。そこで今後は前駆体を合成し、DNAに組み込んだ後にsfA骨格を構築することを計画した。前駆体自身もsfAのモノマーを合成する上での中間体であるため、既に合成は終えている。DNA合成後の修飾法として、酸化反応を行う予定であるが、上述のように塩基性条件下でsfA自体が分解する可能性が示されたため、pH条件などを調節しながら反応を行う。sfAを含むオリゴ核酸配列が得られれば、二重鎖融解温度測定や酵素耐性又は酵素に対する認識能を評価していく。またsfGも現在合成途中であるが、sfAの研究で得られた知見を活用し、進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度はコロナ禍であったため、出張費の支出が抑えられ、物品費に充てられたが1万円以下(7,770円)の残額が生じたと考えられる。次年度は、試薬・消耗品などの物品費に充てる予定である。
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