本研究成果の学術的意義は、固体状態である薬物粒子の物理化学的な安定性を評価する際に、薬物粒子を直接評価せず、媒体である水のT2緩和測定を通じて、薬物粒子の安定性を間接的に評価した点にある。水分子のT2緩和を観測対象とすることで、薬物の種類に依存しない、汎用的な薬物粒子の凝集および沈降の評価方法となる。 また、低磁場型のNMR装置を用いて、薬物ナノ懸濁液の安定性評価におけるT2緩和測定の有用性を示した点に、社会的意義がある。低磁場型のNMR装置は、永久磁石を有するベンチトップ型であるため、医薬品の製造プロセスにおける品質評価への応用が期待できる。
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