研究課題
若手研究
本研究では乾燥耐性を持つ抗酸化活性関連タンパク質候補について構造機能相関解析を目指した。まず、乾燥時に発現量が上昇することが知られているクマムシ由来タンパク質RvLipoについて、X線結晶構造解析をおこなった。また、申請時には予定していなかったが、原核生物において活性酸素の除去に関与しているとされているタンパク質に構造が類似したクマムシ由来のタンパク質についても、X線結晶構造解析をおこなうとともに、分光学的測定や活性測定を実施した。
構造生物化学
これまで立体構造的特性が不明であったクマムシ由来のタンパク質の構造を明らかにした。構造が決定されたクマムシタンパク質は、配列相同性からは既知のタンパク質とは異なると目されたが、構造的な類似性からは既知タンパク質と似た機能があると推定され、実際に銅用の生化学的特性を示すことが明らかになった。これはクマムシタンパク質は決して変わり者ではなく、ごく一般的な生物学的枠組みの一部であることを示しており、これらをクマムシの細胞外(例えばヒトなど)で応用するための一歩になったとも考えられる。