近年、疾患に関連するキラル分子の存在が明らかとなり、その病理組織学的解析が急務となっている。しかし、免疫組織化学等で組織中の各エナンチオマーを選択的にイメージングすることは、通常極めて困難である。そこで本研究では、ジアステレオマー誘導体化とイオンモビリティースペクトロメトリーを質量分析イメージングに組み合わせる、新たなイメージング法の開発に取り組んだ。まず分離に適した化学構造を調査し、その結果に基づき新規誘導体化試薬を設計した。続いてこの試薬を用い、マウス組織に含まれるキラルな有機酸(D-, L-2-ヒドロキシグルタル酸)の各エナンチオマーが異なる分布を示す様子を可視化することに成功した。
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