医薬品創製においては,候補化合物の溶解性の低さ,分配係数,保存安定性などの物理化学特性がしばしば製剤化の断念につながり,このことが医薬品開発の遅れの一因になっている。この問題の解決法の1つに,医薬品候補化合物と添加物による複合体形成による,溶解性の改善やバイオアベイラビリティーの向上が提案されている。深共晶または共結晶は,2つ以上の化合物が水素結合性の複合体形成により,物理化学的特性が変化することが知られている。これらの組み合わせを見つけられる方法を開発することおよび、見つけた複合体の評価は医薬品創製において重要な知見となることが示唆された。インドメタシン/シメチジンの混合物はKBrとともに高温条件で熱融合された。合成された複合体の評価はFTIRスペクトルの測定とXRDの測定および熱分析によって達成された。ピロキシカム/サッカリンは湿式および乾式メカノケミカル合成法によって複合体形成が達成された。湿式のメカノケミカル合成において溶媒は、水、エタノール、アセトンの3つが採用され、FT-IRスペクトル、XRDパターン、近赤外分光スペクトル、熱分析によって評価された。ピロキシカムとサッカリンの等モル混合物は遊星型ボールミルによって粉砕された。1時間ごとの結晶性の変化を評価するためにXRDを用いて測定した。インドメタシン/シメチジン、ピロキシカム/サッカリンなどの共アモルファスの発見とその製剤学的評価の報告に至った。
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