本研究では、多発性骨髄腫におけるボルテゾミブ耐性機構を解明するため、ボルテゾミブ耐性骨髄腫細胞株を用いたタンパク質および代謝物の網羅的解析を行った。超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析計 (SFC/MS)を用いた測定系を構築し、189種類の脂質分子種について測定を行った。その結果、耐性株では特定の脂質分子種の発現が変動し、脂肪酸代謝の亢進が耐性機構に関与している可能性が示唆された。さらに、ボルテゾミブ不応性患者の血清中で抗炎症性脂質が減少していることが確認され、これらの脂質分子種が耐性に関連する重要なバイオマーカーであることが示唆された。
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