本研究成果は,「細胞毒性が低くかつ高い細胞膜透過性を示すペプチドを開発するためには,膜摂動力を最適化する必要がある」という新たな学術的仮説を提示すると同時に,この方法論の実践のために構築した評価法の有用性を示すものである.本評価法を用いて,塩基性アミノ酸/疎水性アミノ酸数,疎水性度,両親媒性度などの構造特性を説明変数とする様々なペプチドの膜摂動力と機能の関係について解明を進めることで,より有用な薬物キャリアの開発が可能となる.また,膜摂動力と細胞毒性の連関解明に本評価手法を用いることで,ペプチドの細胞膜障害性を利用した「耐性のつきにくい抗がん/抗菌剤」の開発に資する基盤研究を展開できる.
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