研究課題
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease)は 腸管において過剰な炎症が持続する難治性疾患であり、腸管上皮細胞のバリア機能の低下が一つの原因と言われ ている。特にMuc2ムチンは腸管上皮細胞から分泌され、その糖鎖修飾は腸管上皮のバリア機能において重要な役割を担う。またMuc2の糖鎖は硫酸化修飾を受ける ことが知られているが、その硫酸化の生理的意義については不明な点が多い。そこで本研究では、Muc2糖鎖の硫酸化を触媒する硫酸基転移酵素GlcNAc6ST-2の ノックアウトマウスに腸炎モデルを適用し、腸炎の病態形成におけるMuc2糖鎖の硫酸化の生理的意義を明らかにすることを目的とした。 本年度は、GlcNAc6ST-2ノックアウトマウスへAOM/DSS大腸癌を誘導し解析を行った。結果、GlcNAc6ST-2ノックアウトマウスにおいて腫瘍の増悪が顕著に観察され、ムチン糖鎖の硫酸化が大腸癌抑制的に働くことが明らかとなった。 また、前年度に解析した腸内細菌叢の腸炎病態における寄与を調べるため、co-house実験をおこなった。結果、co-houseによりGlcNAc6ST-2ノックアウトマウスの腸炎病態が軽減されたことから、ムチン糖鎖の硫酸化によって形成される腸内細菌叢が腸炎病態に関わることが示唆された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Front Microbiol
巻: 13 ページ: 900948
10.3389/fmicb.2022.900948
巻: 13 ページ: 1022945
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J Immunother Cancer
巻: 10 ページ: e005657
10.1136/jitc-2022-005657