研究課題/領域番号 |
20K15988
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野口 玲菜 (水谷玲菜) 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任助教 (30780697)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 核内構造体 |
研究実績の概要 |
MALAT1はがんの悪性化に関与する長鎖非コードRNAとして知られているが、MALAT1を介した遺伝子発現機構や生理機能の全貌は不明である。申請者はMALAT1の機 能解析を行う過程で、通常は核スペックルと呼ばれる核内構造体に局在するMALAT1が、熱ストレスに応答して新規核内 構造体(HiNoCo-body; Heat inducible Noncoding RNA Containing bodyと命名)を形成すること、 MALAT1が熱ストレス時の細胞生存に必要であることを世界に先駆けて発見した。この結果から MALAT1 が形成するHiNoCo-bodyが熱ストレス応答に重要であることが示唆された。本研究では、 MALAT1の機能配列を同定し、それぞれの機能配列に結合するタンパク質を網羅的に解析することで、通常条件と熱ストレス条件下のMALAT1の機能ドメインを明らかにすることを目的とする。 昨年度に様々な長さの変異型MALAT1を発現する細胞株を樹立し、熱ストレス時の細胞内局在の観察を行った。その結果、熱ストレス時の局在変化に必要なMALAT1の部分配列を同定した。今年度は昨年度に同定した局在変化に必要な部分配列のみを有する変異型MALAT1(miniMALAT1と命名)を発現する細胞株を樹立し、細胞内局在の観察をおこなった。その結果、申請者が同定したminiMALAT1も野生型MALAT1と同様にHiNoCo-bodyを形成することを見出した。このことから、MALAT1の局在変化に必要十分な配列を同定することができたと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
局在変化に必要十分なMALAT1のRNA配列の同定はできたが、結合するタンパク質を解析するための実験系の確立に時間を要しており、実験が完了していないのでやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
熱ストレス・非ストレス条件下でのMALAT1の局在制御に重要なタンパク質を同定するための実験系を確立させる。また、同定されたタンパク質とこれまでに得られたMALAT1の機能配列の物理的な相互作用などについても検証することで、MALAT1の通常条件と熱ストレス条件下のMALAT1の機能ドメインの解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加費を計上していたが、COVID-19の影響で学会が全てオンライン開催となったため、当初参加を予定していた学会の旅費を他の用途で使用できるようになった。また試薬等の納品に想定以上に時間が要したため、一部の実験については本年度中に実験を開始することが難しかった。使用計画は、研究の遂行に必要な消耗品費を予定している。
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