研究成果の概要 |
多剤排出ポンプは全ての細菌が先天的に持つ基本的な生体防御機構である。しかし多くのホモログでは抗菌薬を輸送しておらず、また抗菌薬は人工物であるため、多剤排出ポンプの持つ本来の生理的な役割は不明である。この研究では黄色ブドウ球菌の主要な多剤排出ポンプの輸送する本来の基質の探索を行った。 黄色ブドウ球菌の恒常的に発現している3つの主要な多剤排出ポンプ(norA, mdeA, mepA)の破壊は生育に影響を与えなかったが、TCAサイクルやアミノ酸を中心とした細胞内代謝物の減少が認められた。また反転膜小胞による基質濃縮の可能性を検討し、反転膜小胞中のnorAの基質であるnorfloxacinを検出した。
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