令和3年度では、前年度の再現実験も行ったため研究方法・計画に記載されている(1)から(5)の実験を網羅的に行った。 今年度は、Ly6aの発現レベルが変化した細胞における1本鎖核酸の取り込み解析を共焦点顕微鏡解析だけでなく、フローサイトメトリー解析を用いて解析することになった。その結果、Ly6aの発現レベルが変化すると、1本鎖核酸の細胞内取り込みには変化が見られないが、細胞内輸送には変化が見られることが判明した。また、エンドサイトーシス阻害剤とLy6aの発現レベルを変化させても裸の1本鎖核酸の取り込み変化が見られないことが判明し、Ly6aとSIDT2を同時に過剰発現させたとしても、1本鎖核酸の細胞内取り込みが増加することや、アンチセンス核酸のアンチセンス効果がさらに増すようなことは観察されなかった。そして、Ly6aは細胞によってER、リソソーム、細胞膜と細胞内局在が違うことを示唆する結果を得ることができている。今年度の解析で最も重要な結果は、Ly6aは1本鎖核酸の細胞内取り込みにはあまり関与しないが、細胞内輸送には関与するということである。今後は前年度と今年度で解析された結果をまとめて論文を執筆する予定である。
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