脳梗塞は血管の狭窄閉塞により、その支配領域の神経細胞が壊死する疾患である。本研究では、認知症や片麻痺などの脳梗塞の後遺症の原因となる慢性期二次性神経脱落における、急性期の炎症応答の関与を検証するため、末梢リンパ球の脳内浸潤経路である頚部リンパ節の脳梗塞における役割を検討した。脳梗塞モデルマウスにおける頚部リンパ節の外科的除去は、急性期では線条体内のリンパ球数増加の抑制を伴い運動機能障害を軽減したが、慢性期では認知機能低下の回復を遅延した。頚部リンパ節を経由して脳内浸潤する末梢リンパ球の脳梗塞病態における重要性が示唆された。本研究成果は、脳梗塞の新しい治療法開発に基礎的知見を提供するものである。
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