研究実績の概要 |
MUTZ3細胞から各種サイトカイン(IL-4, IFN-α)を用いてMUTZ3-IL-4-樹状細胞(Dendritic cell; DC)およびMUTZ3-IFN-DCを作製した。MUTZ3-IL-4-DCと比較するとMUTZ3-IFN-DCにおいてDCの収率が有意に増加し、T細胞への抗原提示に関与するCD80, CD86, CD83, CD40, HLA-ABCやリンパ節への遊走に関与するCCR7の発現が有意に増加した(n=5)。各DCの抗原提示能を検証するためにMART-1ペプチドを付加した各種MUTZ3由来のDCとCD8+T細胞を用いたin vitro混合培養試験を実施した。MUTZ3-IL4-DCと比較するとMUTZ3-IFN-DCは、MART-1特異的な細胞傷害性T細胞数を多く誘導した(n=1)。これらの結果からMUTZ3-IFN-DCの方が優れた抗原提示能力を持つ可能性が示唆された。次にMUTZ3-IL-4-DCおよびMUTZ3-IFN-DCから放出されるエクソソームの粒子径をnanosightにより測定を行ったところ、80-120nmの粒子を検出し、エクソソームの指標となるCD9, CD63, CD81の発現を認めた (n=5)。この結果から各DCからのエクソソーム放出が確認された。興味深いことにMUTZ-IFN-DC由来エクソームではMUTZ-IL-4-DCと比較すると、細胞表現型と同様にCD83やHLA-ABCの発現の増加が認められた。これらの結果からMUTZ3細胞において異なるサイトカインを用いて分化させたDCでは、抗原提示能に関連する表現型に差異が認められ、さらに放出されるエクソソームにおいても同様に差が認められたことから、エクソソーム自身の抗原提示能に差が認められる可能性が示唆される。
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