本研究では抗体のアミノ酸改変によって、結合速度定数kaを上昇させることで、抗体抗がん剤複合体(antibody-drug conjugates, ADCs)の機能向上を目指した。組織因子に対するモノクローナル抗体について、抗体のアミノ酸改変を行ったところ、20倍以上kaが上昇した。改変型抗体は野生型抗体と比較して、TF陽性がん細胞PSN-1への細胞内在化効率が上昇し、改変型ADCは野生型ADCよりもPSN-1に対する殺細胞効果が高かった。一方、in vivoにおける腫瘍集積性や抗腫瘍効果では改変による優位性が示されなかった。
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