キナ酸の化合物生産に与える影響の評価:キナ酸の有無による色調変化を調査した。植物内生菌では、液体培地で100株中45株、固体培地では100株中19株において変化が見られた。土壌糸状菌では、液体培地で100株中68株、固体培地で100株中34株において変化が見られた。 キナ酸が糸状菌の2次代謝に影響を及ぼす分類範囲の調査:上記200株につい形態的特徴およびITS領域の配列情報に基づき属レベルでの分類を行った。その結果、Eurotium 目に属するAspergillus 属、Penicillium 属、Talaromyces 属、Capnodia 目に属するCladosporium 属、Ramichloridium 属、Pleospora 目に属するCurvuralia 属、Hypoclea 目 に属するAcremonium 属、Beauveria 属、Fussarium 属、Lecanicillium 属、Leptobacillium 属、Metarhizium 属、Pochonia 属、Purpleocillium 属、Tolypocladium 属、Trichoderma 属において影響を与えることが明らかとなった。 次に汎用性の高い培養条件の検討を行うために、既に保有している糸状菌600株を用いてPDB培地で培養液の調製を行い、LC-UV解析で化合物生産性を調査した。 これを3回繰り返し、化合物生産性が安定していた6株を選出後、培養条件の検討を行った。キナ酸を0.001~10%まで10段階に調製して培養を行い、これら培養液を用いてペーパーディスク法にて6種の病原性微生物に対して抗菌試験を行った結果、キナ酸濃度0.05%で最も強い活性を示した。 以上より、土壌糸状菌を液体培養時に前述のキナ酸濃度で大規模スクリーニングを実施した際に最も効果を発揮することが期待される。
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