研究実績の概要 |
昨年度の知見としてユリ科植物から単離されたスピロスタノール配糖体にIDO-1阻害活性を見出すことができた。そこで今年度は当教室の強みでもあるステロイド配糖体に着目し、天然物ライブラリーの活性を評価した。22種のトリテルペン配糖体 (1-22) および15種のステロイド配糖体 (23-37) の計 37 種のサポニンのIDO-1阻害活性を評価した。ユリ科植物を中心にゴマノハグサ科、トベラ科、ナス科植物から単離した化合物を選定した。その結果、エパカドスタットは終濃度 0.1 microM において 65.3 % の阻害率を示した.化合物 1-37 は終濃度 0.1または0.01 mM で IDO1 阻害活性を評価した。そのうちトリテルペン配糖体 22 およびステロイド配糖体 26 がそれぞれ50 %以上の阻害率を示し、濃度依存的に阻害活性を示したことからそれぞれIC50 値を求め、50.5 mM, 79.0 mM を示した。化合物22はラノステロール型トリテルペン配糖体のscillanostaside G、26はアグリコンの6位にケトン基、3位にラムノースとグルコースの二糖を有するスピロスタノール配糖体である。 ヨウシュヤマゴボウ地下部から1種の新規化合物を含む13種のトリテルペン配糖体を単離し構造を決定した。このうち9種の化合物はSBC-3細胞に対して弱いながらも毒性を示した。次に抗がん剤エトポシドおよびドキソルビシンとトリテルペン配糖体との併用効果を評価した。その結果、モノデスモシド配糖体1はドキソルビシンと、ビスデスモシド配糖体8はエトポシドと、それぞれ併用すると、細胞毒性が増強する併用効果を示した。これはTIG-3正常細胞に対して毒性を示さない濃度であった。そこで併用効果のメカニズムを検討する目的で1と8のIDO-1阻害活性を評価したが、活性は示さなかった。
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