研究課題/領域番号 |
20K16042
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
野田 哲史 滋賀医科大学, 医学部, 薬剤師 (60865707)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レンバチニブ / 肝細胞がん / TDM / 臨床薬理学 |
研究実績の概要 |
レンバチニブは、進行性肝細胞がんの1次治療で承認された経口分子標的抗がん薬である。しかし、用量制限毒性となる重篤な有害事象のために投与継続が困難となる症例や、一方で、内服遵守しているのにも拘わらず治療抵抗性になる症例を経験することが多い。そこで本研究では、レンバチニブのTherapeitic drug monitoring (TDM)を活用した治療方法の個別化投与設計を目的として、レンバチニブの血中濃度と副作用・治療効果の関連について、後方視的観察研究を実施している。2020年度では、レンバチニブを投与され、血中濃度測定の同意を得た肝細胞がん患者28名を対象に、レンバチニブのトラフ濃度と、grade 3(CTCAE v. 5)以上の副作用、および抗腫瘍縮小効果・無増悪生存期間の関連を評価してきた。レンバチニブ濃度が36.8-71.4 ng/mLの患者(11名)の無増悪生存期間は、36.8 ng/mL未満(4名)の患者、あるいは71.4 ng/mL以上の患者(13名)と比較して、延長する傾向を認めた [中央値13.3か月(36.8-71.4 ng/mL) vs. 3.5か月(36.8 ng/mL未満) vs. 7.8か月(71.4 ng/mL以上)]。2021年度では、レンバチニブの血中濃度の個体間変動要因の探索として、薬物動態に関連する因子の遺伝子多型とレンバチニブの血中濃度との関連を解析した。その結果、薬物代謝酵素CYP3A4/5、薬物トランスポーターABCG2、ABCB1、ABCC2の遺伝子多型と、レンバチニブの血中濃度/投与量に有意な関連がないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝細胞がん患者におけるレンバチニブのTDMを活用した個別化投与設計を目的とした本研究では、至適濃度の同定が必要となっているが、現時点で、症例は少数例ではあるものの、毒性域と治療域の有意なカットオフ値を算出することができている。また、有意なカットオフ値を用いた無増悪生存期間を評価では、治療域を超えて毒性域を超えていない患者の無増悪生存期間が、延長することが示され、本至適濃度の有用性を証明することができたことが、上記区分の理由となっている傾向も示すことができている。さらに、レンバチニブの血中濃度の個体間変動の要因の解析として、薬物代謝酵素および薬物トランスポーターの遺伝子多型と、レンバチニブ濃度/投与量の解析についても予定通り行えていることが、上記区分の理由となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、臨床計画書に沿って、臨床薬物動態解析、臨床薬力学態解析、およびファーマコゲノミクス解析の結果から、母集団薬物動態/有害事象回避モデルの開発を行う。
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