研究課題
Bcr-Abl阻害薬Imatinibの登場によってCMLの5年生存率は90%を超え、長期生存が見込める疾患となった。しかし、慢性骨髄性白血病(CML)の治療効果の向上に伴い生じた問題の1つに寛解後の再発がある。現状ではBcr-Abl阻害薬を休薬すると再発してしまうため、現状では一生涯の薬物治療を余儀なくされている。とくに、AYA世代など若年患者においては長期投与による副作用や高額な薬剤費に悩まされている。治療薬の休薬のためにはCML幹細胞の根絶が必要であり、それには新たな標的が必要と考えられている。本研究の目的はがん幹細胞に効果的な薬剤および作用点の探索である。まず、ALDH阻害作用をもつ薬剤について、細胞株を用いた検討によりいずれの薬剤もCMLに対して抗腫瘍効果を発揮する事が確認された。また、それらの薬剤をBcr-Abl阻害薬と併用した際にBcr-Abl阻害薬の薬効を減弱せず、抗腫瘍効果を増強した。そこで、詳細な作用点について検証を進めており、この効果がALDH発現量に依存するかについても更なる検証を行っている。また、ALDH阻害はBcr-Ablとは作用点が異なることが示唆されているため、Bcr-Abl阻害薬に対する耐性を獲得したCML細胞株を樹立した。それを用いて薬物耐性を獲得したCMLに対しても抗腫瘍効果を示すかどうか検討を進めている。また、薬剤以外の因子が治療継続に与える影響についてもデータベース解析を用いて検討を進めている。解析の結果、候補となりうる因子を複数抽出しており、これらの因子について詳細なメカニズムおよびがん幹細胞に対して何らかの影響を与えているのか基礎的検討を進めている。
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