研究課題/領域番号 |
20K16049
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
大澤 隆志 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (40835758)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | GlcNAc / 関節リウマチ / 栄養補助食品 |
研究実績の概要 |
本研究は、関節リウマチ患者におけるGlucNAcを含有する栄養補助食品の有用性を評価することを目的に、GlcNAc含有の栄養補助食品を使用している関節リウマチ患者の血漿中GlcNAcの動態や変動要因や血漿中GlcNAc濃度と疾患活動性との関連を明らかにしていく。 昨年までにJA静岡厚生連静岡厚生病院に通院する関節リウマチ患者60名の血漿中GlcNAc濃度と関節リウマチの疾患活動性や腎機能、加齢と関連することを明らかとした。以上より、血漿中GlcNAc濃度を関節リウマチの疾患活動性の指標とする際には、リウマチの非罹患者における腎機能及び加齢の影響を明らかとする必要があることが分かった。 本年は、昨年対象となったJA静岡厚生連静岡厚生病院に通院する関節リウマチ患者60名の1年後の血漿中GlcNAc濃度と関節リウマチの疾患活動性の指標との関連性を検討した。2020年においてDAS28-CRP を指標とした非寛解群(DAS28-CRP≧2.6)では寛解群(DAS28-CRP < 2.6)と比べ、血漿中GlcNAc濃度が有意に高値を示した(P < 0.01)。一方、2019年及び2020年において、HAQを指標とした非寛解群(HAQ > 0.5)では寛解群(HAQ ≦ 0.5)と比べ、血漿中GlcNAc濃度が有意に高値を示した(P < 0.01及びP < 0.02)。また、2020年において血漿中GlcNAc濃度とMMP-3値には正の直線的相関が認められた(P < 0.01、ρ = 0.388)。本研究は、DAS28-CRPおよびHAQによって分類した関節リウマチ疾患の非寛解群では、寛解群に比べて血漿中GlcNAc濃度が有意に高値を示すことを初めて明らかにした。以上のことから、血漿中GlcNAc濃度はRA患者における関節破壊の程度を反映する指標となり得ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年対象となったJA静岡厚生連静岡厚生病院に通院する関節リウマチ患者60名の1年後の血漿中GlcNAc濃度を測定し、1年の時間経過を追いながら血漿中GlcNAc濃度とRAの疾患活動性との関連性を明らかにした。また、その成果を日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部 合同学術大会2021(オンライン開催)において報告した。しかし、リウマチを罹患していないヒトにおけるGlcNAcの体内動態についての情報はなく、リウマチを罹患していないヒトの血漿中GlcNAc濃度が腎機能や年齢の影響を受けるか不明である。よって、現在JA静岡厚生連静岡厚生病院にて健康診断を受診した者を対象に関節リウマチ患者以外のヒトにおけるGlcNAcの体内動態の個体差要因について解析を進めている。さらに、血漿中グルコサミン濃度についても関節リウマチの疾患活動性や血漿中GlcNAc濃度との関連について明らかにするために、LC-MSを用いた測定方法を開発している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はJA静岡厚生連静岡厚生病院にて健康診断受診者の血漿検体の解析を進めていき、リウマチを罹患していないヒトの血漿中GlcNAc濃度の腎機能や年齢の影響や個体差要因について明らかにしていく。また、同一対象における血漿中GlcNAc濃度の継時的な変化についても解析を行い、その変動要因を明らかにしていく予定である。さらに、疾患活動性と血漿中GlcNAc濃度との関係性について、抗CCP抗体を含む様々な尺度との関係性について検討していく。そのために血清中の抗CCP抗体などの測定系を検討中である。また、グルコサミンまたはGlcNAc含有の健康食品摂取者の検体を収集するため、JA静岡厚生連静岡厚生病院に通院する関節リウマチ患者および健康診断受診者についても検体の収集を継続し、解析していく。さらに、GlcNAcだけでなくグルコサミンの血漿中濃度についても関節リウマチの疾患活動性との関係性やその個体差要因について解析することを検討している。
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