研究課題
申請者の既存の報告から、胆汁うっ滞肝毒性評価系の構築において、胆汁酸取り込み・排泄トランスポーターの機能の備わった細胞の作出が重要であると考えた。そこで、hNTCP強制発現株にヒトBSEPを強制発現させたHepG2-hNTCP-hBSEP-C4細胞を作製することに加え、培地を灌流させた胆汁鬱滞型肝障害試験法の開発を行うことを目的とした。しかし、HepG2-hNTCP-hBSEP-C4細胞の作製が困難であったことから、凍結ヒト肝細胞(PHHs)に着目し、毛細胆管構造の形成とトランスポーターの機能向上に効果的な培養方法の検討を行った。その結果、培地RM-101にZ-VAD-FMKとRevitaを添加した培養(新規法)により、長く太い線状の毛細胆管様構造を多く確認した。また、従来法で培養したPHHsに比べ、新規法では胆汁酸排泄トランスポーターであるBSEPの基質であるtauro-nor-THCA-24-DBDの毛細胆管様構造部分への蓄積がより多く認められた。免疫染色を行ったところNTCPが細胞膜上に発現し、BSEPは細胞骨格マーカーであるF-actinの付近に発現していた。さらに、MRP2の基質であるCDFの毛細胆管様構造部分への蓄積も認められた。デバイス上に新規法で培養したPHHsを播種し、サンドイッチ培養を行った後に胆汁うっ滞肝毒性試験を行った。胆汁うっ滞肝毒性を示す代表的な医薬品であるシクロスポリンA(CsA)のデバイスで用いているシリコンチューブに対する収着を確認をしたところ、灌流培養によって24時間後には半分量に減少した。そのため、一方通行型の灌流培養により胆汁うっ滞肝毒性評価を行い、CsAの経時的な細胞毒性の上昇が認められた。
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J Toxicol Sci.
巻: 47 ページ: 13-18
10.2131/jts.47.13