研究課題
若手研究
本研究はアンドロゲンに対するP-糖タンパク質 (P-gp) を介した薬物-生体内基質間相互作用 (DEI) が生体内において起こり得るか否かを明らかにすることを目的とした。細胞を用いた試験より、アンドロゲンと相互作用し得る中枢作動薬などのいくつかの薬物が見出された。さらに、それらの薬物を対象とした動物試験を行い、アンドロゲンの脳内移行性はDEIの影響を受ける事が明らかとなった。本検討より、生体内の血液脳関門においてP-gpを介したDEIが起こり得る事が示された。
生物薬剤学
相互作用は医薬品どうしによるものが一般的に知られており、その飲み合わせの注意喚起が行われている。本研究の成果から、医薬品どうしの相互作用だけではなく、生体内基質と医薬品のP-gpを介した相互作用は生体内基質の体内動態に影響を及ぼす可能性が示唆された。そのため、生体内基質との相互作用を考慮した医薬品の新しい注意喚起 (添付文書への記載の追加や修正など) が行われると期待される。