アレルゲン免疫療法は花粉症などのI型アレルギーに対して有効な治療法である。国民の25%以上がスギ花粉症といわれる現代で、スギ花粉症の新たな治療法として自宅で治療可能なアレルゲン舌下免疫療法(SLIT)が注目されている。治療効果発現機序として、制御性T細胞の活性化や抗原特異的IgG4や抗IgE因子の増加が考えられているが、十分に解明されていない。本研究では、スギ花粉舌下免疫療法の治療早期における奏効性予測法の開発のほか、SLIT治療機序の解明することを目的としている。 これまでシダトレンSLIT治療実施前後で特異的IgG4が上昇し、かつ特異的IgEの変動がほとんどない患者(7症例)についてEXiLE法を実施し、洗浄なしEXiLE法では全ての症例でEC50が増大することを示した。本年度は新たに10症例のSLIT実施前後の患者血清についてEXiLE法を実施し、血清中の中和抗体の評価が可能かどうか検討した。 シダトレンSLIT実施患者のうち、治療開始前・後で特異的IgG4が増加し、かつ特異的IgEが減少した10症例の患者血清を用いて、EXiLE法を実施したころ、洗浄あり、洗浄なし共に全ての症例で治療前後でのEC50が有意に増加した。特異的IgEの変動とEXiLE法(EC50)の間には相関が認められなかったことから、EC50の増加は中和抗体等の抗IgE因子増加の指標には適さないと考えられた。一方で、洗浄なしEXiLE法であれば特異的IgE値に関わらず治療前後でEC50が有意に増加する可能性が示唆された。
|