研究課題
若手研究
近位尿細管基底細胞膜に発現する有機アニオントランスポーターOAT1を介したメチルマロン酸の取り込みが示された。また、ラット腎スライスを介したメチルマロン酸取り込みはOAT阻害剤であるプロベネシドによって阻害された。したがって、OAT1は、血中から近位尿細管細胞内への取り込みを介して、メチルマロン酸の尿細管細胞内への蓄積または尿中への分泌機構に関与する可能性が高い。また、ラット尿細管管腔側膜小胞を介したメチルマロン酸の取り込みには、ナトリウム依存性トランスポーターの関与が示唆された。
生物薬剤学
トランスポーターによるメチルマロン酸の輸送について検討し、OAT1がメチルマロン酸を基質認識することを見出した。メチルマロン酸血症患者における腎障害は近位尿細管で観察されることから、OAT1がメチルマロン酸による腎障害発症に関与している可能性がある。トランスポーターによる有機酸の基質認識は、有機酸代謝異常症における新規薬物治療法を開発したり疾患時の薬物腎クリアランスの変動について予測したりする上で重要な知見となり得る。