今後の研究の推進方策 |
調製したCMC-MEG粒子とAPAPの混合物とAPAPの溶出試験の結果を比較した。15, 30, 45分の3点の平均溶出率を比較したf2関数の値は67.4となった。生物学的同等性試験ガイドラインに従うと、f2値が50以上の場合溶出挙動は類似していると考えられるため、APAPの溶出挙動とAPAPとCMC-MEG粒子の混合物の溶出挙動は類似していると考えられた。以上の結果より、溶出挙動が類似していたためCMC-MEG粒子はAPAPの薬効や薬物動態にほとんど影響を与えない可能性が考えられた。 次にCMC-MEG粒子とAPAPを含むモデルOD錠の溶出試験の結果を比較した。60分経過した時点におけるCMC-MEG錠の溶出率は28.4%となり、APAP錠と比べて明らかに低いことが示された。15, 30, 45分の3点の平均溶出率より算出したf2関数の値は3.5となり、APAP錠とCMC-MEG錠の溶出挙動に類似性は見られなかった。60分後の錠剤の様子を比較すると、APAP錠は完全に崩壊していたがCMC-MEG錠はほとんど崩壊しておらず錠剤としての形を保っていた。CMC-MEG錠の崩壊遅延が起きた原因として、CMCの膨潤性により錠剤表面に膜が形成され、JP2の浸透が阻害されたことが考えられる。 このようにCMC-MEG粒子は粉末の状態であれば問題ないが錠剤中に入れると膨潤し、ゲルを形成することで錠剤の崩壊を困難にしてしまう。これを解消するにはCMCの含有量を減少させることが有効だが、少なすぎればAPAPは溶出し、苦味を呈してしまう。CMC量が少ない場合でも苦味マスキングを達成できるように工夫する必要がある、具体的にはCMCナノファイバーを用いる等してゲル強度を変更する方法が考えられる。次年度はこのようにCMC自体を異なるタイプへ変更し、検討したい。
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