研究課題
若手研究
本研究では立体構造の報告が少ない抗菌薬とヒト血清アルブミン(HSA)複合体のX線結晶構造解析を試みた。その結果、7種類の抗菌薬について結晶化に成功し、うち3種類については構造を決定、詳細な相互作用様式を解明することができた。また、薬剤感受性試験により、HSAとの結合部位について競合する薬物が存在すると最小発育阻止濃度が変化し、薬効に影響することを実験的に確認した。
構造生物学
HSAは抗菌薬だけでなく抗がん剤や抗炎症薬など多くの薬と相互作用し、その結合変化によって薬効が左右される。特に救命的な重要性を有する抗菌薬は静脈内に直接投与されるものが多く、血中HSA濃度と同等になることから、併用薬とHSAの結合部位を取り合えば薬効変化が懸念される。本研究で得られた抗菌薬とHSAの詳細な相互作用様式は、併用注意の薬物リスト作成に役に立ち、効果的な薬物療法の設計に応用されることが期待できる。