研究課題/領域番号 |
20K16061
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
浦嶋 庸子 大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (90636309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経腸栄養剤 / カルバマゼピン / バルプロ酸 / レベチラセタム / 吸収低下 |
研究実績の概要 |
カルバマゼピン(CBZ)、バルプロ酸(VPA)およびレベチラセタム(LEV)について、ラットに経口投与し、経腸栄養剤(F2α、ラコールNF、エンシュア・リキッド、リーナレンLP)との併用の有無による薬物血中動態の変化について比較した。 CBZにおいては、各種経腸栄養剤との併用の有無に関わらず、経口投与後の血中動態に変化はみられなかった。 一方、VPAにおいては、単独投与に比較して、全ての経腸栄養剤との併用により、血中濃度下面積(AUC)の低下が認められた。したがって、経腸栄養剤中の何らかの成分が、VPAの吸収低下を引き起こすことが考えられた。この原因物質を明らかにするため、今後Caco-2細胞を用いた単層膜透過系により、経腸栄養剤中に含まれる糖質、タンパク質、繊維質が影響を及ぼすか否かについて検討する必要があり、現在VPAのCaco-2細胞単層膜透過系における透過液、薬物添加量、透過時間等の条件設定を行っている。また、ラットにおいてVPAの吸収低下を防ぐための投与間隔を決定するため、現在VPA投与後15分、30分に経腸栄養剤を投与した場合の血中動態変化について検討する。 LEVについては、高速液体クロマトグラフィーによる血中濃度測定法を確立し、ラットへの投与量、投与方法について条件設定を確立した。今後CBZ、VPA同様に経口投与を行い、経腸栄養剤との併用の有無による血中動態変化について検討する。なお、LEVについては食事による吸収低下が報告されていることから、食物と同時投与した群も作成し、比較する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、カルバマゼピン、バルプロ酸の経腸栄養剤との同時投与による薬物動態については完了し、レベチラセタムについても条件設定が終了している。また、経腸栄養剤との同時投与によりラットでの吸収に変化がみられたバルプロ酸については、Caco-2単層細胞膜透過系の実施に着手し、検討を進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
レベチラセタムと経腸栄養剤の同時投与による血中動態の変化について実施し、2021年度中に完了する。また、Caco-2単層細胞膜透過系を用いて、バルプロ酸と各種経腸栄養剤中の成分との同時添加による膜透過(吸収)の変化について検討する。なお、VPAは透過に使用する溶媒を酸性に調製する必要があるが、タンパク質の溶解にはアルカリ性溶媒とすることが必要であるため、タンパク質の影響を検討するたけめの実験条件については別途確立が必要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要試薬の内、一部が当該年度中に納品を完了しなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度中に、予定の試薬購入分として使用する。
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