NASH発症の背景因子には、生活習慣病と薬剤の2つがある。NASHの病態進展には、腸内細菌の過増殖による粘膜透過性亢進を介して、腸内細菌由来成分が肝臓に移行する機序が指摘されている。これは生活習慣を基盤としたNASHに関する報告であり、薬剤性のNASHに関する報告はほとんどない。本研究では、NASHを高頻度で発症することが報告されているAMDを用いてNASHモデルを作成した。その結果、薬剤性NASHの発症や進展の予防において、小腸粘膜の恒常性維持が重要である可能性が示唆された。本成果は、現在、有効な治療薬がないNASHにおいて新たな治療標的を生み出す端緒となる学術的意義を有している。
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