研究課題/領域番号 |
20K16068
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
山本 吉章 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (60596245)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | てんかん / 薬物動態 / 小児 |
研究実績の概要 |
一般的に小児患者は,生体機能が年齢とともに大きく変化するため,各年齢における薬物動態の特徴に基づいた投与設計が必要となる.特に抗てんかん薬を代謝する薬物代謝酵素の発現は成長によって変化することが知られている.本研究は,小児てんかん患者を対象とし,血中濃度モニタリングを基盤とした抗てんかん薬の薬物動態・薬効解析を行う.特に,使用経験が少なく臨床情報が不十分な希少てんかん,4歳未満の小児てんかんに着目し,薬物治療法の最適化を目指す.さらに遺伝子解析に基づく抗てんかん薬の個別化薬物治療を確立する. 2011年から2020年までに静岡てんかん神経医療センターでレベチラセタムを服用した小児患者1,121名(0歳~16歳)から5,870ポイントの血中濃度を測定した.各患者の血清中レベチラセタム濃度投与量比を算出して体内動態に与える因子を抽出した.年齢,体重,酵素誘導剤(フェニトイン,フェノバルビタール,カルバマゼピン)の併用は有意な影響因子であった.さらに,レベチラセタムの薬物動態解析と同様の手法を用いて2013年から2020年までにルフィナミドを服用したレノックスガストー症候群患者178名から1,531ポイントの血中濃度を解析した.体内動態に与える影響と本剤の有効濃度を調査した. 一般的にレベチラセタムはCYPで代謝されないため,薬物相互作用を受けにくい抗てんかん薬として知られている.しかし,酵素誘導剤を併用するとカルボキシルエステラーゼが誘導され結果的に血中濃度を低下させたと考える.今後は,小児の年齢別に酵素誘導剤が与える影響を検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児てんかん患者を対象としたレベチラセタムの薬物動態解析が完了し,2021年中に国内外の学会で発表,論文化する予定である.ルフィナミドの血中濃度データも年度内にクリーニングが完了し,論文化可能である.一方,ラモトリギンとゾニサミドの血中濃度データの取得に取り掛かっており,抗てんかん薬の薬物動態解析はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今年度中にラモトリギンとゾニサミドの血中濃度データを解析する.同時にクロバザムの個別化薬物療法の有用性についても検証する.クロバザムを導入予定の16歳未満の小児てんかん患者を対象とし,CYP2C19遺伝子多型を測定する.CYP2C19の遺伝子多型に基づき投与量を調整し,本剤の忍容性と有効性を検証する(個別化治療群).さらに2010年から2014年までにCYP2C19事前分析を行わずにクロバザムを導入した患者を抽出し,傾向スコアで個別化治療群とマッチングさせ対照群(標準治療群;ヒストリカルコホート)とする.両群の治療継続率をカプランマイヤー法で比較する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い研究成果の発表を行う学会(14th European Epilepsy Congress)が中止となり余剰金が発生した.これらは2021年度の成果発表(学会参加費,論文校正・掲載費,旅費)の経費として計上する予定である.
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