研究課題/領域番号 |
20K16069
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
澤本 一樹 旭川医科大学, 医学部, 特任助教 (80608696)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遺伝子治療 / アデノ随伴ウイルス / 骨ターゲティング / カプシドタンパク / 骨系統疾患 |
研究実績の概要 |
骨系統疾患に対する従来の酵素補充療法や造血幹細胞移植の効果は極めて限局的である。そのため骨系統疾患への有効な治療法の開発が社会的に求められている。今年度は昨年度に作製したカプシド改変型アデノ随伴ウイルスベクターをマウスに投与し、ベクターの骨指向性およびその他の臓器への分布を評価した。C57BL/6J雄性マウスに5.0E12GC/kgの用量で各ウイルスベクターを尾静脈より投与した。投与後2週間後に各組織を採取し凍結切片を作製後、EGFPの蛍光から組織導入効率を評価した。まず非カプシド改変型AAV8ベクター投与群では、大腿骨および脛骨の海綿骨、とりわけ骨幹端に蛍光を認めた。また骨髄細胞および皮質骨においてもわずかな蛍光を認めた。しかしながら、成長板および関節軟骨には蛍光を認めなかった。次に、cap配列のT138またはN590の直後にD8の塩基配列が挿入されたカプシド改変型AAV8ベクター投与群においては、大腿骨および脛骨のいずれの部位においてもEGFPの蛍光は観察されなかった。続いて肝臓においても非カプシド改変型AAV8ベクター投与群では強い蛍光が観察されたが、改変型ベクター投与群においては先ほどと同様にEGFP蛍光の著しい減弱を認めた。今後は各組織中におけるベクターコピー数を定量化し、各投与群で比較する予定である。また、ヒドロキシアパタイト結合アッセイを行いIn vitroで各ベクターの骨指向性の評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験を進めるに当たり、ウイルスベクターをさらに作製する必要に迫られたため。
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今後の研究の推進方策 |
酸性アミノ酸ホモペプチドの塩基挿入部位を新たに精査し、改変ウイルスベクターを作製する。それらの組み換えウイルスをマウスに投与し組織分布を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに作製した改変ウイルスベクターには骨指向性が認められなかった。そのため、当初予定していた病態モデル動物をしようした検討に進むことが出来なかった。
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