本研究では、多発性骨髄腫の治療薬として近年重要性が増している抗体医薬に関して、臨床現場に適用できる患者の血清中濃度測定法を確立すること、ならびにその測定法を用いて薬物動態の個人間差・個人内差を明らかにすることを目的としている。本研究ではLC-MS/MS法による定量法の開発を目的としており、従来広く用いられているELISA法の欠点(交叉反応性、キットによる結果のばらつき)を克服できると期待される。 本年度は、前年度に引き続き、血清中濃度測定に必要なペプチド断片の分析条件最適化を行った。当初は3種類の抗体医薬の同時測定法確立を目指していたが、分析感度の問題より、そのうちの1種類(エロツズマブ)の定量法開発は断念し、ダラツムマブおよびデノスマブの2種類の定量法開発に切り替え、バックグラウンドの低減・酵素処理効率化などに関する検討を行った。また、米国FDAのガイダンスに基づき、検量線・回収率・日内日間変動などに関する検討を行った。
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